こんにちは。KYOENの荒木です。
長年介護施設の新人研修を担当していて、毎年目の当たりにする光景があります。
それは新人介護職の人たちが、やっていけるだろうかという不安を抱いて現場に立っている姿です。
その一番の原因はスキルに対する自信のなさからくる不安です。
経験が不足しているから無理もありません。
一方、介護現場の指導的立場の人から、
「今どきの新人は、自分なりに考えて行動することができない」との言葉も耳にします。
仕事をする上において、給料をもらいながら
「わかりません」「知りません」「教えてもらっていません」という言葉は、
原則あってはならないと思っています。
しかし現実は残念ながら答えを教えてもらう教育環境で育った若い人たちが、
考える力のないまま社会人になっていることも事実です。
いわゆる「指示待ち姿勢」が多いことは否めません。
指示をするまで仕事ができない。指示をしたことしかしない、できない。
私はこの人たちを「しじまちこさん」「しじままおくん」と呼んでいます。
それだけに、指示待ち族、指示まま族を、
教える側がいかに現場力のある人材に育成していくかが大きな課題だと思っています。
日常的な人材不足のなか、
やむない事情から短時間での詰め込みに近い研修をし、
現場の都合で早々に夜勤に就かせる現状があります。
結果として経験不足ゆえに不安と恐怖が先に立ち、
自信喪失に陥り、上司や先輩、職場の在り方に不信感を抱き、
退職していった新人を数多く見てきました。
現実的な対応として、一日も早く主戦力として現場に立って欲しいと願うなら、
教える側は“急がば回れ”の気持ちで人材育成に臨んで欲しいと願っています。
教える側の基本的な考え方として、介護に個別ケアがあるように、
仕事を教えるときにも、きめ細やかな個別指導をしていくことが大切です。
それには、「だれに」「どのような内容を」
「どのタイミングで」「どのくらいの時間をかけて」教えるかを、
きちんと明確にしておく必要があります。
スタッフの現状がどうであるかという現状レベルの把握をしっかりし、
「誰が」「どのような能力」に不足があり、
その点を「いつまでに」教育するのか、したいのかを整理し、
日頃からきちんと計画性をもって効率よく指導してください。
では、具体的なスキルとしての教え方を、事例を通して紹介します。
<事例紹介>
・ 仕事の手順を作成し、その上で「場数を踏むことで必ず慣れてきますよ」と言う。
※正確に覚えてもらうには、きちんと手順を追って教えることが大切。
・「基礎的なことは学んできたと思いますが、ここではこのやり方をお願いします」
※単なる指摘や感情的な叱責は反発しか生みません。
具体的に指示することが鉄則。
・「誰でも1回で覚えられないから、その都度わからないことは聞いて」
※聞きやすい雰囲気を醸し出す言葉で、新人の成長を促せる。
・「入職したときから比べると随分とスキルが向上しているね。後はこの箇所を、このようにすれば利用者さんも楽だと思うよ」
※アドバイスの先に利用者さんをイメージできるような促しの仕方。
なるほどと思わせることが大切。
わかりやすい教え方のコツは、
相手がイメージしやすい具体的な例を示すことです。
教える前にまず、
「今、どのようなことで悩んでいるか聞かせて」と質問することで、
相手が教わりたいことが明確になり、
結果としてスキルアップへ効果的につながっていきます。