こんにちは、影山恭子です。
今日から新年度がスタート。新社会人の皆さんにとっては新たな生活の始まりですね。
毎年この時期は新規採用や新入社員・職員の方への研修をさせていただきますが、事務局となる研修担当の方からは、数か月後にやってくるリアリティショックへの心配のお声をよく耳にします。
リアリティショックとは、新規採用職員や新たな環境に置かれた社員の方が、理想と現実のギャップに衝撃を受けてしまう状態のことをいいます。
入社前に抱いた理想と実際に直面する現実との間でギャップを感じてしまい、モチベーションの低下や将来への不安などが生じる現象です。
特に変化の激しい現代社会においては、組織においても予期しなかった事態に対応しなければならない状況が多く、理想とは程遠い現実を目の当たりにして「自分の思い描いた状況とは違う」「こんなことをやりたくて、この企業に入ったわけではない」と思い悩むことが出てくるということです。
そんな時、是非役立てていただきたいと思うのが、「プランド・ハプンスタンス理論」です。
プランド・ハプンスタンス(Planned Happenstance)とは、日本語で「計画された偶発性」と訳されるキャリア論で、20世紀末にスタンフォード大学のジョン・Ⅾ・クランボルツ教授が提唱した理論です。
この理論では、変化の激しい時代においてキャリアの8割は偶然の出来事によって形成されている。
であるならば、その偶然の出来事を利用して自身のキャリア形成に役立てよう。
また、自らが偶然の出来事を引き寄せるように働きかけ、積極的にキャリア形成の機会を創り出そうということを唱えています。
一見、予期していなかった状況や偶然に見える出来事でも、実は自ら種をまき準備をし、柔軟に捉えることでチャンスが生まれるという考え方です。
キャリアは、運や偶然に任されることが多いと考えられがちですが、実は自ら作り出すこともできます。
例えば、「私、この分野には詳しいんです」と周囲に伝えることで、関連する情報や人が集まりやすくなる。
「こんな仕事をやってみたいんです!」と言い続けることで、チャンスが巡ってくる。
目の前の仕事に対して、少しでも自分の興味が湧く部分を見つけて積極的に取り組むことで新たな道が開けてくる。
つまり、ただ待つのではなく、チャンスを掴むための行動を意識的に増やしていくことが大切だとプランドハプンスタンス理論は教えてくれています。
かくいう私も長年勤めた企業を離れ、研修講師として新たなキャリアをスタートするタイミングでコロナ禍に見舞われました。全く予期しなかった事態です。
予定されていた仕事はすべてキャンセル。それまでに築いてきた仕事の関係先やネットワークは全く機能せず、途方にくれる日々でした。
「でも大丈夫!何とかなる」と自分では思っていても、身体は正直なもので帯状疱疹を発症しました。
しかし、自分の一番の強みである講師としての軸。
ここは「ブラさずに行こう」と心に決め、活動できる場を探し求める中で偶然今の関係先に出会うことになりました。
はじめは経験のない領域という不安が伴う中で、それでも歩みを進み続けることによって、自分の研修テーマが格段に広がることになりました。
また、「このテーマで本当は研修がやりたいんです」と周りに言い続けることで、関連する新たな角度からのアプローチによる研修依頼があり、今ではそれが数多くのリピートをいただけるまでのテーマになりました。
そこで、新社会人の方々には、是非「やりたい!」を言葉にしていってほしいと思っています。
そして、できる限りできることを増やしておく。
フィールドが広いとそれだけ新しいキャリアに繋がることが多いのです。
最初は全く関係がないと思っていた業務でも、「今の環境でできること」を探していくことで、新たなチャンスが生まれる可能性があります。
やりたいことというのは、待っているだけでは巡ってきてくれません。
でも、自分から発信・行動し続けることで、必ず機会は生まれます。
その機会を掴むために、今日から少しずつ自らで「偶発性」を計画していきましょう。